タイコーヒーの由来
タイ最北端の山岳地帯、ラオス、ミャンマーが国境を接するエリアは、別名「ゴールデントライアングル」と称され、かつては非合法の麻薬の栽培地域として知られていた。当時タイ北部の山岳地帯では、アヘンの原料となるケシの栽培が主な収入源。それにより治安が著しく悪化し、大量の森林伐採や焼畑などで森や水源が枯渇。貧困問題も深刻化していた。
そんな状況を目の当たりにしたタイ王室は、1988年にあるプロジェクトを発足。
この地域に住むアカ族やラウ族、シャン族などの少数山岳民族の文化を守りつつも、社会的、また経済的に生活を安定させ、森林を再生させるという、人と自然が共存しながら発展することを目的とした計画である。
プロジェクトのひとつにコーヒー栽培がある。同プロジェクトを立ち上げた中心人物は、現国王(プミポン国王)のお母様であるソンワーン皇太后。タイ王室が資金を提供し、ケシに代わる収入源となりうるタイコーヒーの栽培をはじめたのが最初です。
そして今では、タイコーヒーの生産高が年40,000トンを超えるまでに成長しただけでなく、味も世界のスペシャリティコーヒーに勝るとも劣らない深い味わいがあります。以前は、タイコーヒーの知名度がまだ低いことから、力の弱い小規模生産者たちは、仲買行商や大手食料品会社に買い叩かれ、生活に十分な現金収入を確保するのも困難な状況が続いてきました。しかし最近になって名実ともに高い評価を得るようになりました。
タイ国内では「ドイトン」「ドイチャン」「ドイカン」などのブランドで販売され、市街地や空港内でコーヒーショップが出店し、多くのタイ人に国産の味で親しまれております。